
がん治療とインフォームドコンセント
ガンと告知された患者さんが、いろいろ調べてホメオパシー療法を訪ねてくるケースがあります。
健康相談と通してほぼ100%の方が、口をそろえて医療者の言葉に傷つけられたと嘆きます。
お話に耳を傾けながら医療従事者(私は一応、看護師であり保健師です)として心が痛みます。
お話を伺いながら一緒に涙がこぼれることもあります。
病気のうえにさらなる苦痛を与えることに対して憤りを感じます。
もっと患者に寄り添った言い方はなかったのだろうか、と悔しいのです。
皆さんご存じのように、がん治療は、化学療法(抗がん剤)、手術、放射線の3つが三大治療です。
がんと診断されたら、まずお決まりのセットですね。
本当にその3つしかないのか、医師はその3つしか知らないのでは?3大治療を妄信しているのでは、と感じることがあります。
昨日お越しになった女性も、医師の言葉に傷ついたと仰いました。
1時間という相談のなかで、クライアントさんの感情を思いっきり吐露していただくのも大事な時間です。
以下、クラアントさんの会話から受診時の医師とのやりとりを文字起こししてみました。
患者「1年に1回、人間ドッグに行っていたのに卵巣がんが発見されなかったということですよね。つい1年ちょっと前に出産もしたのに」
医師「発見しにくい場所だったんだと思います。3週間以内に手術をしましょう。予約日はこの日でいかがでしょうか」
患者「そんな急に。ちょっと考えさせてください。。。私は手術も抗がん剤もできたらしたくない」
医者「抗がん剤をしないなんて、そんな患者は聞いたことがない」
患者「抗がん剤は副作用が苦しそうなのでやりたくないんです。検査だけしていただけませんか?」
医者「うちで治療をしないなら検査もしませんよ」
患者「そうですか、、、ではセカンドオピニオンにも意見をもらいたい・・・」
医者「セカンドオピニオンね、いくらでも紹介状を書きますよ。どこがご希望ですか?だいたい、うちの病院がセカンドオピニオンでいろんなガン患者が紹介状を持ってやってくる医療機関なんですよ。」
患者「○○医院に行こうかと思っています。癌のマインドフルネス療法などやっていると聞いてますし」
医者「○○医院?聞いたことがないね(笑う)」
ガンに限らず、かかりつけの医療機関を持つことはとても大事だと考えます。
何かあったときに検査をしてもらうことや、的確な診断をしてもらうことは大事なことだからです。
体調に異変が生じた時には特に大事となります。
そのかかりつけ医とのマッチングは患者さんの精神的な安寧にとても影響を与えるので、安心できるお医者さんを見つけることが何より大事だと思います。
残念ながら、このクライアントさんの医師は、提案した治療を断るなら以後の診察はしないと突き放しました。
「インフォームドコンセント」という言葉は、みんな知っていると思いますが、これは単に「医師が患者に一般的な情報を伝えて、患者から同意をもらうもの」ではありません。
「患者が薬剤師や医師と情報を共有し、最善の治療を選択し、医療に参加していく行為」です。
いわれるままに検査をして、治療して、「まな板の上のコイ」なんて言うようなものはインフォームドコンセントが果たされているとは言えないのです。
医療者の意識改革とインフォームドコンセント問題、
こうやってブログを書いている今この瞬間も、傷ついた心を抱え、思いを抗うことも出来ず悔しさや悲しさ、不安をたった一人で抱えている患者さんがいると思うと胸が痛みます。
健康相談後には前向きな気持ちで自分の病気に主体的に取り組めるように、そんなコンサルテーションを目指して日々活動しています。
